合間縫う腑に落ちない音楽

肩透かしのカタストロフィは続く

アメリカの音楽院で権勢を振るう東洋系美人演奏家たち

最近、NEC室内オーケストラの動画をよく見ている。といっても日本の電機メーカーではない。ニューイングランド音楽院のオーケストラのことだ。

つまりアマチュアの学生なのだが、これがバカにならない水準で、特に弦楽合奏の曲はなかなか聴かせる。例えばシェーンベルクの「浄められた夜」など、指揮者なしでここまで聞かせられるのなら、指揮者なんかいらないじゃないかと思わせる名演だ。

14分30秒あたりから聞くと、各パートをどう合わせているのかよく分かる。

動画で目立つのは、東洋系の女性の姿だ。コンサートミストレスこそ欧米人だが、その隣や斜め後ろ、それからセカンドヴァイオリン(もしかするとその後ろも)とファーストチェロのトップは東洋系ではないか。

NEC室内オケの演奏には、このほかストラヴィンスキーの「ミューズを率いるアポロ」があり、こちらはソリスト兼コンミスが韓国系の美女であり、その隣でソロに合わせているのも東洋系女性である。

これだけ見ると、NECオケが元々レベルが高く、東洋系に乗っ取られているだけのようにも見えるが、定期演奏会のような動画(the New England Conservatory Youth Philharmonic Orchestra)を見ると、必ずしも東洋系女性の顔が目立つわけではない。

興味深いことに、東洋系が見えない演奏会の方は、演奏のレベルがグンと下がる。どういう理由か分からないが、オケにもレベルがいくつか分かれているのではないか。技量によって松竹梅とか(確かにYouthだしな)。

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ただ、あえて個人的な感想を言えば、「ああ、中国人ってアメリカ人と同じなんだな」と思った。

「アポロ」のソロは、明らかに甘すぎる。本当はもっと擬古典的にノーブルに弾くべきなのだが、「こっちの方がキャッチーじゃん」と言わんばかりのヴィブラートやポルタメントだ。

たぶん、作品の背景を重視するヨーロッパの演奏家はこういう弾き方をしない。言い換えれば、グローバル化で流行るのはこういう表現だし、中国人には次世代の覇権を握るだけの力があると思わせる一側面である。

※再掲載の際に聴き直したが、様式を十分理解した名演だった(ヴィブラートもそんなに掛けていない)ので、言い過ぎた部分があったと反省したがそのままにする。

追記:1stソロのチャン・ユジンはその後、2016年に仙台国際音楽コンクールで優勝している。

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