合間縫う腑に落ちない音楽

肩透かしのカタストロフィは続く

2018-01-01から1年間の記事一覧

のん(能年玲奈)さんが語りをした武満徹「系図」のCDが届いた

のん(能年玲奈)さんが語りをした武満徹「系図」のCDが届いた。一度聞いて、この曲の新しい演奏史ができたなとうれしくなった。 www.amazon.co.jp これから繰り返し聴くことで新たな感想が生まれたら追記するけど、第一印象としては、このキャストは大成功…

SNS時代に「バカ舌」どもが自分の「好み」だけでベラベラとモノを言えるようになったことについて

第11回目のDANROの連載が公開されました。 danro.bar Yahoo!に配信された分についた2つのコメントが印象的だったので、ピックアップしておきたい。1つはこれ。 あの料理にはこの酒、これにはそれと、あーだこーだ言う人もいるが、結局好きな食べ物と好きな酒…

福島の日本酒14種類を実際に飲んでリストアップする

新しいDANROのコラムが公開された。少し間が空いたのは編集部の都合。 *JR福島駅周辺で「ふくしまの日本酒」をたらふく飲んで日帰りした話(リンク切れ。再公開日未定)。 今回も無計画、場当たり的な(私の人生そのもののような)旅について、単に時系列で…

遠野凪子の「系図」に思うことなど

*「#のん さんによる #武満徹「Family Tree」への期待」を改題。 のん(能年玲奈)さんが武満徹の「系図」の語り手をつとめる録音の発売が、この10月に決まったとネットで話題になっている。 www.barks.jp 初演以来、20年以上にわたってこの曲の価値を訴え…

バルトークの弦楽四重奏曲第5番の謎を解く

結論から書くと、バルトークの弦楽四重奏曲第5番(1934年)は、ベートーヴェンの交響曲第5番(1808年)にインスパイア(触発)されて書かれたのではないか、という仮説である。その理由を3つあげる。 なお、この説はよそでは見たことがないので、自分のオリ…

BBC「Proms」の過去の演奏会で最も視聴されているYouTube動画は何か?

前回、プーランクの動画を探索する過程で、「BBC Proms」の動画をピックアップした。その後、ふと確かにイギリス人は、クラシック音楽のエンタメ化に成功していることに気づいた。 プロムスの解説はWikipediaに譲るが、要するにBBCがスポンサーになったプロ…

プーランク「六重奏曲」をコンサートホール以外で演奏する試み

クラシック音楽をカッコよく撮る方法について、とりとめもなく考えてきたのだか、不図したことで面白い動画に出会った。 曲はフランシス・プーランクの「六重奏曲」である。ピアノと4本の木管楽器(フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴット)、それに…

YouTubeにおける弦楽四重奏の扱いの現状

きのうは「クラシック音楽をカッコよく撮る」などとイキってしまったが、実は実態をよく把握していなかった。新しい市場を作るのだから、市場調査に振り回されてもしようがないのだが、やはり現状は知っておくべきだ。 ということで、YouTubeで「String Quar…

クラシック音楽をカッコよく撮る

まだみんなに知られていないけど、エクストリームな天才が作ったクラシック音楽はイケてるし、カッコいい。もっと知られるべきだ。 幸い日本はまだ豊かなので、育成に無茶苦茶コストのかかるクラシック音楽の演奏家が、たくさん存在している。優れた若手のプ…

「仮想通貨バブル」と「出版塾ブーム」の類似点

「就職氷河期」の少し後に盛り上がった「出版塾ブーム」――。無縁のように見える2つの事象には、実は強い関連性があった。 出版塾のしくみの中心は、ネズミとまでは言えないが「講」のような相互扶助会だったことはご存知だろうか?塾の誰かが本を出すと、そ…

ベートーヴェン「運命」の正しい鑑賞法を考える

※ある媒体から頼まれてボツになった原稿。想定読者は音楽の教師。子どもたちの音楽教育が少しでもいいものになってほしいという祈りを込めて。 日本人にとって、俗に「運命」と呼ばれるベートーヴェンの交響曲第5番がクラシック音楽の代名詞のように思われて…

はあちゅう著『「自分」を仕事にする生き方』の全ページに風を通してみたけど「みんな不安だから大丈夫」なのか?

遅まきながら、はあちゅうの『「自分」を仕事にする生き方』(幻冬舎)を手に入れ、苦心して268ページすべてに風を通してみたので、メモを残しておきたい。 ネットを通じて、はあちゅうのイメージは固まっていたが、本によって改めて裏付けられた個所が2つあ…

サンソン・フランソワの弾く「レントより遅く」

最近、オフィスで仕事をしながら、イヤフォンで音楽を聴くことが増えた。 販売や飲食、製造ラインでもない限り、大勢の人たちが集まって仕事をする必然性は、いまやほとんどなくなったと言っていい。 にもかかわらず、わざわざ出勤するのだから、イヤフォン…